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ノイシュヴァンシュタイン城 中世らしさはどこにあるのか

ドイツで最も有名なお城といえば、ノイシュヴァンシュタイン城(Neuschwanstein)。
今回は、城郭史的にみたこのお城の位置づけを検討してみたいと思います。

Castle Neuschwanstein
By Softeis (Own work) [GFDL (http://www.gnu.org/copyleft/fdl.html) or CC-BY-SA-3.0 (http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/)], via Wikimedia Commons

ノイシュヴァンシュタイン城の概要とロマン主義的な背景

ノイシュヴァンシュタイン城の概要については、様々なサイトで言及されているので(例えばウィキペディア)、ここでは要点のみまとめます。

・バイエルン王ルートヴィヒ二世が19世紀に建設させた夢の城
・実用性を無視し、ひたすら趣味に走る。城館に本来あるはずの礼拝堂もない
・ルートヴィヒ二世は、中世騎士道に憧れ、ヴァルトブルク城などを見学して築城の夢を膨らませた

19世紀のヨーロッパでは、ロマン主義的な思想が流行していました。これは単純化していうと形式や伝統を重んずる古典主義などに反発し、個人の感情を表出していくことを重視する思想ですが、これが廃墟趣味や中世世界への憧憬などにもつながっていきます。すなわち、古典主義にみられる統一的で整然とした様式を嫌い、自然的でごちゃごちゃした様式=中世のゴシック建築などを好む傾向です。

こうした流れで城郭ロマン主義というのも起こったわけです。中世世界への憧れから、当時の富豪たちは城郭を修復したり、再現するようになったのです。現在きれいな形で残っている城郭の多くは、この時期に手を加えられたものです。ライン川沿いの城郭群やホーエンツォレルン城などはプロイセン家によって再建されました。ノイシュヴァンシュタイン城建設も城郭ロマン主義の流れに位置づけることができます。

どこが中世的なのか?
伝統的な形式を無視してつくられたノイシュヴァンシュタイン城。しかし、この城にもヴァルトブルク城というモデルがあるわけで、中世的な要素も存在するはず。そこで、具体的にどこが中世的なのか独断と偏見で検討してみます。

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こちらは外側の門。ここで注目すべきは、上方のギザギザの壁。これは鋸壁(きょへき)といい、中世城郭にもみられる防御要素です。防者はこの壁の隙間から射撃し、またすぐ顔を隠すことが出来ます。ノイシュヴァンシュタイン城の場合は単なる飾りですが、中世城郭の防御性の象徴として、鋸壁を加えたことがわかります。

neus3.jpg
塔も中世城郭の欠かせない要素。ノイシュヴァンシュタイン城にも、主塔のようなものがあります。
ここでもう一つ注目すべきは、塔とそれに連結する建物にみられる窓の形式。これ、ヴァルトブルク城の本館にそっくりなんです。
wart9.jpg
こちらがヴァルトブルク城。柱と柱頭、そして二連アーチを束ねる上方のアーチ・・・実によく似ています。

neus4.jpg
さらに、ヴァルトブルク城とノイシュヴァンシュタイン城の上空からみた図を比較すると、よく似ていることがわかります。
互いに山頂に位置し、縦長に建物群が広がっています。本館は奥にあり、その前方に廊下で囲われた前庭があります。

以上から、ノイシュヴァンシュタイン城は、ヴァルトブルク城をはじめとする中世城郭の形式をイメージとして上手に取り入れ、かつオリジナリティと豪華さあふれる全体像を作り上げたということができます。行ったときにはぜひ細部にも注目してみてください。

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