記事一覧

【特集】城郭?城館?ドイツ語におけるお城の定義

ブログのタイトルに「城郭・城館」と書いている通り、これらの言葉は意識して使い分けています。
もちろん、「お城」といった時には、これらの言葉を総称していっていることになります。
それでは、城郭・城館とは、いったい何なのでしょうか。

城郭・ブルク
ドイツ語でBurg(ブルク)といわれる言葉は、城郭・城塞・城砦などと訳されます。
城郭研究者のウルリヒ・グロースマンは、Burgを以下のように定義しています。

「城郭とは、基本的には長期間居住可能で、防御力のある支配者の建造物を意味し、攻撃を受けた際には居住者に安全を提供し、支配権を守ることができるものである。」
-G. Ulrich Großmann: Die Welt der Burgen. Geschichte, Architektur, Kultur, München, 2013.



つまり、守る目的と住む目的が一体化した建造物が城郭といえます。
このざっくりとした定義でいえば、防御された修道院や壁で囲われた都市もBurgの範疇にあるともいえます。
実際、「○○ブルク」という名前の都市も多いですし、「市民」はドイツ語でBürger(ビュルガー)といいます。

ただし、グロースマンの定義は歴史的にBurgという単語がどう認識されていたか、ということを重視しています。
一方で現代の一般的なドイツ人は、「Burgとは中世の、防御性のある、貴族の個別の住居」と認識している人が多い印象です。

城館・シュロス
ドイツ語でSchloß(シュロス)といわれる言葉は、城館・宮殿などと訳されます。

「Schloßは(たいてい多翼式の)豪華な貴族の居住地とされている。Schloßに関しては時代の限定はないが、挙げられている建築の特徴から察するにおそらく近世以降の城館・宮殿が想定されている。このように、Burgの時代を中世、Schloßの時代を近世以降とする見方は、現代ドイツ人の中で一般的に定着しているといえる。」
-「ドイツ城郭研究の過去と現在」、『ドイツ研究』、第50号、信山社、2016年、101-108頁。



ということです。

しかし、どこまでがBurgでどこからがSchloßか、というと実は境界線は曖昧です
というのも、文書史料の中ではBurgとSchloßはかなり同義的に用いられているし、建築的にも現代人がBurgと呼ぶものからSchloßと呼ぶものへの変化の過程は、15世紀から17世紀にまたがるかなりゆるやかなものだったからです。

なので、これらの言葉の使い分けは言語的慣習でしかなく、歴史的・建築的に双方の違いを証明することはできません。
当ブログでは、だいたい一般的な言語的慣習に従って城郭・城館を使い分けることとします。

その他の関連用語
Festung(フェストゥング)、Veste(フェステ):要塞、城塞、城砦・・・純粋な軍事施設。主に近世以降の砲撃に耐えうる防御施設
Residenz(レジデンツ)、Palast(パラスト):宮殿、王宮、居城・・・BurgやSchloßの上位概念。王宮レベルの豪華な城郭・城館

「城」「お城」というと、これらの言葉ぜんぶを総称したものとなります。

『ドイツ研究』第50号

follow us in feedlyこのエントリーをはてなブックマークに追加
にほんブログ村 歴史ブログ 城・宮殿へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト

コメント

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

Ume

Author:Ume
ドイツのお城を専門に研究している珍しい人。著者についてはこちらもご覧ください。Facebookページはこちら(ブログ更新情報をお届け)。講演・執筆依頼など、メールフォームやコメント欄から気軽にご相談ください。
ブログのロゴが付いた写真は筆者自らが撮影したものです。無断転載・加工はご遠慮ください。

更新情報・リンク

follow us in feedly

Amazon.co.jp(アマゾン)
格安!!ヨーロッパのホテル予約
ドイツのお土産
★ぶっちぎり宅建ライブ開講★ 名物講師の白熱講義を!
国内&海外の格安ホテル検索『トリバゴ』

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

検索フォーム

ブロとも申請フォーム

このページのトップへ