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ヴォルフシュタイン城址 ―ノイマルクトのきれいな廃墟―

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今回ご紹介するのは非常にマイナーなヴォルフシュタイン城址(Burgruine Wolfstein)です。
ここに行ったことある日本人って自分以外にいるのだろうか・・・?

場所はバイエルン州オーバープファルツのノイマルクト(Neumarkt)という町のはずれです。
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ノイマルクトはニュルンベルクとレーゲンスブルクの中間に位置し、ローカル電車アグリース(ag)で比較的簡単に行けます。のどかな町です。

なぜここに来たかというと、バイエルンチケット(州内の電車バス乗り放題の一日周遊券)でぶらぶら旅をしている最中に、偶然車窓から城を発見したからです。山の上に城があるのを見つけると、謎の使命感から登ってみたくなるのです。

ノイマルクトの町を突き抜け、城へ一直線。入り口に到着しました。
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城郭の中心部分は、とても深い堀で守られていることがわかります。

平面図をみるとよりわかりやすいでしょう。
wolfsteingru.gif
(http://burgenseite.de/html/wolfst.html)
ここではGが堀(Graben)、VBGが前城(Vorburg)、ZWが空堀(Zwinger)、Hが中庭(Hof)、PALが本館(Palas)、KAPが礼拝堂(Kapelle)、Zは貯水槽(Zisterne)を表しています。

地形タイプとしては突角地(Sporn)で、これは三方向が崖などに囲われている地形を指します。
研究者クラーエによれば、中世城郭の約2割がこの突角地と呼ばれる地形に位置しているのだとか。非常に防御に適しているといえます。

生活領域である本館や貯水槽はこうした地形に加えて、前城・堀・空堀・主塔・環状壁などの防御施設によって何重にも守られていることがよくわかりますね。
中庭の入り口付近には強固な主塔(Bergfried)がそびえており、あらゆる方向を監視することができます。
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奥の本館(Palas)では、城主が暮らしていました。一階に台所施設があり、上階に大広間などがあったと推測されています。アーチで支えられた大きな窓は、快適な居住性を提供していたと考えられます。これは15世紀頃に建てられました。
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本館から少し離れた場所にある礼拝堂(Kapelle)は、部分的にしか残っていません。天井のアーチが残っていますが、よくこんな状態で持ちこたえているな・・・と感心してしまいます。
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ヴォルフシュタイン城は、同名の貴族階級の騎士が所有していたと、1120年の史料からすでに明らかにされています。
しかしヴォルフシュタイン家は13世紀にはすでに断絶し、その後、城の主はズルツビュルク出身のハンス・ゴットフリートという人物に変わったそうですが、彼の息子ゴットフリート二世からは「フォン・ヴォルフシュタイン」という名字を冠するようになりました。

中世中期頃、まだ一部の卓越した家系を除いては、名字をもっていない人がほとんどでした。しかし、領主として権力を掌握し、城に住んだ貴族たちは、城の名前を自分の名字として名乗ったのです。ハプスブルクなんかもその一つ。実際に、ハプスブルク城というのがスイスにあり、ここが同家の出発点となっています。城主であるというのは、大きなステータスであったことがよくわかります。

その後、ヴォルフシュタインは、バイエルンで権勢を誇っていたヴィッテルスバッハ家と争ってベーメン王などと手を組んだりします。しかし最終的にヴィッテルスバッハ家のオットー二世が、1465年にヴォルフシュタイン城を買収することに成功してしまいます。
ヴォルフシュタイン城は、1504年のランツフート継承戦争で破壊され、廃墟となってしまいました。

城を追い出されたヴォルフシュタイン家はというと、結構出世したそうです。1523年には帝国男爵、1673年には帝国伯爵にまでなっています(1740年に家系は断絶)。

長らく見捨てられていた城郭ですが、近年では「ヴォルフシュタイン城址愛好会」なる団体が存在し、彼らが熱心に発掘したおかげできれいな状態で残されています。廃墟のわりには見学しやすいと思います。

おっと、日が暮れてしまいそうです。下山しましょう。辺りが真っ暗になると危険ですので、城の見学は夕方までです。それでは、ごきげんよう。
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