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ミュンヘン思い出話 その5 ミュンヘン大学

私は2010年~11年にかけて交換留学でミュンヘン大学に通っていました。
今回は、大学の紹介と、ドイツの大学でどのような授業が行われているのかを、体験談として綴りたいと思います。

ミュンヘン大学の概要
ミュンヘン大学の正式名称はルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン(略称:LMU)
1472年創立のバイエルン州立大学で、18の学部、45000人の学生を擁する総合大学です。
(工学部はミュンヘン工科大学)

学生のうち4割近くが留学生で、ヨーロッパの周辺諸国(特に東欧)からの学生が多いです。
世界大学ランキングでは常に東京大学よりも上位に位置する名門大学です。

大学の施設はミュンヘン市内各地に点在しており、その数は百以上。
私が所属していた歴史学科は大学の主要施設(事務局)に隣接していたのでとても通いやすかったです。
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こちらがその主要施設(Hauptgebäude)。

ミュンヘン大学に入学手続きすると、いろいろな案内パンフレットが渡されますが、その中にチケットのようなものが入っています。
それはミュンヘン大学のカバン(LMU Tasche)引換券だったりします。指定された日にちに大学に行くと、もらえます。
lmu2.jpg
なかなかいいデザインなので、私も一時期日本に帰っても愛用していました。
ミュンヘンではそこらじゅうにこのカバンを使っている人がいて、一目で学生だとわかるわけです。

当時私は学部4年生でしたが、ミュンヘン大学では主に大学1年生向けの授業に参加していました。といってもドイツの学生はギムナジウムという中高一貫教育で、すでに日本の大学の一般教養レベルの課程は終えているので、大学ではいきなり専門課程で学ぶわけです。

ドイツの学生は入学後、3年目で大きな課題を(主専攻と副専攻でそれぞれ卒論レベルの課題)をこなし、バチェラーを取得します。その次は約2年でマギスターを取得します。
つまり、ドイツの大学は5年制の学部・修士一貫教育で、ドイツでは大卒=日本でいう修士卒レベルになるわけです(最近ではシステムが多様化してきているそうですが)。
卒業するのはかなり難しく、途中でやめてしまう人も多いです。授業料がほとんど無料ということもあって、留年率も高いです。そもそも大学進学率は25%程度で、日本の約半分です。

大学に進学しない人たちの多くは、もう中学生あたりから職業訓練を受けて早々と手に職をつけます。
個人的には日本もこの方式になればいいのにと思っています。

歴史学科の授業内容
それでは、私が履修した授業の内容を、具体的にご紹介しましょう。それによって、ドイツの学生の取り組みが少しわかってくるはずです。
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↑歴史学科の施設、ヒストリクム。

中世における政治裁判(ヨルグ・シュヴァルツ先生)
Politische Prozesse im Mittelalterとあったので、最初「中世における政治過程」だと思って参加したら違っていました。
実際はひたすら中世ヨーロッパで発生した裁判事例を検討するというもので、あっけにとられました。
ゼミナール方式で、毎回議題にする裁判事例について各自事前にテキストを読んできて、担当者はその内容を要約した発表をするというもの。発表は30分程度ですが、人によっては1時間以上、原稿なしでしゃべりつづける人もいました。よくそんなテーマで話せるな・・・。
毎回予習すべきテキストは30ページほどあり、とても読むのに苦労しました。私は15世紀ニュルンベルクで起きた、都市参事会のローズンガー(財務官)による着服事件とその裁判を担当し、発表しました。
ゼミの最終課題は、自分が発表したテーマについて12~15ページのレポートを書くこと。レポートでは必ず最低3種類の一次史料(つまり中世の古い言葉で書かれた原典など)を参照しなければなりませんでした。下手したら日本の大学の卒論に匹敵する課題だと思いました。

中世ラテン語(ザビーネ・ビュッティンガー先生)
中世ラテン語をひたすらドイツ語に訳すゼミです。
履修者はたったの3人・・・・・ドイツでも古典は人気がないようです。
ラテン語を羅和辞典で調べて日本語にして、それをまた独和辞典で調べてドイツ語に訳すという、他の学生に対して明らかに不利な状況でした。
試験は散々でしたが、先生が私の状況を考慮して単位をくれました。
先生は若手の女性でしたが、病弱なようでよく休講になりました。最近教授資格論文を出版されたようです。

中世バイエルン史(クリストフ・パウルス先生)
中世バイエルン史を先生が丁寧に概説してくれました。日本ではなかなか聞けない地域史の詳しい流れを説明してくれたので、とても貴重な知識を得ることができました。
この授業も途中からゼミ方式になり、ここでも30ページの論文を読んでその概要を発表しました。一週間前に突然課題を言い渡されたので、かなり焦って準備した記憶があります


この他にも、ただ聞くだけの講義にも参加していましたが、ゼミの課題に追われて途中から行けなくなりました。
それから、ミュンヘン大学が提供しているドイツ語クラスも、週2コマ受けていました。

これらすべては、2010/11年の秋冬学期に履修していたものです。
実は2010年春夏学期からドイツに居ましたが、ドイツ語力不足のため専門の授業には参加できていませんでした。留学の期間を一年にしておいてよかったと思います。半年だったら、ただの語学留学になっていました。
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↑大学の主要施設に隣接する図書閲覧室。よくここで勉強していました。夜24時まで開いているところがGOOD

いかがでしょうか?私はドイツの学生は大変だなーと思いました。それとともに、もっと本気になって物事に取り組まないと専門家になんかなれないと気が付きました。学部生のうちにこのことを意識できたのは良かったと思います。とはいえ、意識はあっても身体と頭がなかなかついていきません(笑)


余談ですが、先ほど紹介した先生方にはそれぞれ口癖がありました。
シュヴァルツ先生「Ganz genau!
ビュッティンガー先生「richtig!
パウルス先生「So ist es!

いずれも「その通り!」という意味です。表現が多様で面白いですね。

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