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エルツ城 ―切り立った複合建築― その2

最近はドイツ語の翻訳の仕事や講演会の準備、その他書類作成等でてんやわんやになってきたので、月末までは更新はかなり不定期になると思います、あらかじめご了承ください。。

エルツ城の構造

さて、前回の続きです。エルツ城の全体像を堪能した後は、谷を降りて入り口まで向かいます。
eltz2.jpg
やはり近くに来ると迫力があります。観光客は年間20万人くらいいるようですが、日本人観光客はほとんどみられません。

エルツ城の構造を把握するために、平面図を参照しましょう。

Burg elz.gif
By thw1309 - selbstgefertigte Zeichnung, CC BY 2.5, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1869125


私たちは今、平面図の下の入り口前に立っています。門をくぐった先には、いくつかの建物が中庭のまわりに立ち並んでいることがわかります。それぞれの建物を建設順にみていきましょう。

プラット・エルツ
入り口からみて一番奥にたたずむ正方形平面の建物。このプラット・エルツと呼ばれる建物が、現存する最古の部分です(12世紀中頃)。
プラットは卓上地(Plateau)という単語に由来するといわれており、確かに小さな卓上型の岩の上に築かれています。
この土地に豊富な硬砂岩や粘板岩が用いられ、7階層から成るこの建物の二階層目には、中庭側にロマネスク様式の二連アーチがみられます。
これと同じ様式のアーチが、別の建物(ケムペニッヒ・ハウス、1651年完成)の壁から1978年に出土しました。

このことからわかることは、12世紀頃にはすでにプラット・エルツ以外にも建物が立ち並んでいて、それらのほとんどが後の改築で潰されていったということです。古い建物にそのまま覆い被せるようにして新しい建物つくるんですね。

リューベナッハ・ハウス
エルツ城の城主であるエルツ家は、1268年に3家に分家します。それぞれの家系はエルツ城を共同で所有し、それぞれの居住施設を新たに建設していくことになります。
最初に完成したのが銀獅子の家系によるリューベナッハ・ハウス。中庭の西側に、1472年に完成しました。
8階層で、長方形平面のこの建物の外側は、上層だけ白く化粧塗りされており、上層の両脇には小型の塔が付いています。
eltz11.jpg
よく見ると、中層あたりに小型の出っ張りがあります。これはトイレです。つまり、昔の人は排泄物を空中に垂直落下させていたのです。下の処理はどうなっていたのか・・・?中世ヨーロッパでペストが大流行したのは、こうした不衛生さが大きな要因になっているのではないでしょうか。

ローデンドルフ・ハウス
1470年頃には中庭の北側に、牛角の家系によってローデンドルフ・ハウスの建設がはじめられました。
この建物群の中核を成すのが大ローデンドルフ・ハウスで、10の階層、40mの高さを誇る城内最大の建物です。
壁の色は他の建物よりも暗めですが、上層部は赤と白のハーフティンバー(木組みが壁の表面にむき出しになった部分)で組まれた三つの屋根窓で飾られています。
eltz12.jpg

ケンペニッヒ・ハウス
最後に金獅子の家系がケンペニッヒ・ハウスの建設に着手しました。
この建物の玄関は、中庭で最も目立っています。玄武岩の柱がアーチを支え、その上に白く化粧塗りされた建物の張出部分が乗っています。また、玄関横には大きな階段塔が隣接しており、上層には赤と白のハーフティンバーが組まれています。こうした螺旋階段の塔は、ルネサンス期の建築によくみられるものです。
eltz7.jpg
この玄関のアーチをのぞき込むと、1651という数字が書かれていることがわかります。これはその年にケムペニッヒ・ハウスが完成したことを示しています。
eltz10.jpg

ケンペニッヒ・ハウスの完成で、エルツ城はほぼ現在の構成に仕上がりました。
このように、増改築を繰り返して非常に長期間使用された中世城郭の例は枚挙にいとまがありません。
ひとくちに「このお城は中世の姿を保っている!」ということは難しいのかもしれません。実際はいろいろな時代のいろいろな建築様式が絡み合うように立っているのです。
これが、城郭建築の様式分類を困難にしています。「常に例外」がつきまとっていますから(笑)
しかも、後の時代の修復なども考慮すると、現在の姿にまどわされてはならないと思われます。
例えば、エルツ城のハーフティンバーなどは最近修復されていますが、その過程でデザインが変更されていたりします。ある意味このお城は今も成長を続けているといえます。

次回はエルツ城にまつわる歴史についてご紹介したいと思います。
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